はじめに
社会人に人気の本、『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』の考え方を、マンガで示した『マンガでよくわかる エッセンシャル思考』を読んだ。
面白かったので、システム部門で働く中で実践しようと思ったところや、印象に残ったところをまとめる。
今回読んだ本
『マンガでよくわかる エッセンシャル思考』。
90 分ほどで読み切れた。また、原著(日本語版)を読んだ人から、事前に聞いていたサマリに関してはほぼ網羅されていた。
時間とやる気があれば原著(日本語版)もおすすめ。
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読んだきっかけ
直近1か月ほど、業務時間が忙しく、流石にまずいと思ったからである。
裁量労働制なので、自分のためにならない仕事をやってしまうとただただ損になってしまう。
概要
今回読んだ『マンガでよくわかる エッセンシャル思考』は、『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』のエッセンスをマンガと共に伝えてくれる本である。
全体を通じて、
やったほうがよいことを「全部やろう」と思うな。あなたの時間は限られている。無駄を捨てよ。
と言いたいと思われる。
スローガンは
「より少なく、しかしより良く」
である。そのために大切な考え方は以下の 3 つだと言う。
- 「やると選択する」
- 「世の中のほとんどはノイズ」
- 「すべてを手に入れることはできない(トレードオフ)」
「やる」と自分で選択する
自分がやると決めたから、やる
やることが増えすぎている現状に対し、重要なことを見極める技術が必要。そして、「やらなくてはならない」という考えではなく、「自分がやると決める」というふうに、考え方を改める。
自分の今の状況はこれまでの選択の積み重ね(つまり自分で選択したものだ)という話も聞いたことがある。 他責思考に陥らないという意味でもこの考え方は有用だと思った。 結局、自分が忙しいのは、仕事が多いせいでも周りがさぼっているせいでもなく、自分が原因ってこと。
規律のない拡大路線は失敗する
成功した企業が衰退する原因は「規律なき拡大路線」に陥ることだという。
頑張って仕事をするとそれだけ頼られて、何でもかんでも引き受けてしまうということらしい。「規律なき拡大路線」ではなく、成果に直結する方向に努力を配分しようということ。
また、「無意味な雑用を断るだけではなく、魅力的に見えるチャンスを切り捨てることも必要」だと言う。
魅力的に見えるチャンスを切り捨てることは、難易度が高い。私も、「不要だ」「これは複数人でやらなくてもよいので他の人に任せよう」と思う仕事は数か月前にほとんど切り捨てたはずだが、その結果空いた時間は、今となっては埋まってしまっている。魅力的なチャンスをすべて真正面から受け止めている実態はあるかもしれない。
組織としても、私のチームは新しいチームなので、組織内に営業活動して拡大路線を突っ走っている現状がある。せっかく広まってきたところでエッセンシャル思考でやっぱり拡大をやめようとは思わないが、「ビジネス価値駆動」という自組織のモットーと、規律なき拡大路線で衰退した企業があるという事実は心に止めておいたほうが良いと感じた。
何をやるかを決める方法
90 点ルール
自分なりの基準を用意し、その基準にしたがって選択肢を 100 点満点で評価する。90 点以上のものだけに、イエスを言う。
90 点以上を見極めるためには、
- 自分は何が好きか
- 自分は何が得意か
- 市場の大きなニーズがあるか
を考えると良いらしい。
めざすゴールを明確にする
シンプルで、具体的で、刺激的で、測定可能
な目標を選ぶこと。以下の 4 つの象限に分けた場合に、本質目標に当たるものを選ぶとよい。
言っていることはなんとなくわかるが、自分の仕事に置き換えようとすると難しい。。
アジャイル開発によるサービス提供をしているので、こんな感じ…?(違うかも)
ゼロベースで考える
チャンスが目の前に来た時に、「このチャンスを逃したらどう感じるか?」と考える代わりに、「もし、今目の前にあるチャンスが手に入っていなかったら、手に入れるためにどのくらいのコストを払うだろうか」と考える。
授かり効果というものがあるらしく、心理学者のダニエル・カーネマンの行なったとある実験では以下のことがわかっているらしい。すでにあるものを失うのは怖いものだ。
- 被験者の半数の人にマグカップを与えた。
- マグカップを与えられた人に、マグカップを手放しても良い値段を聞いた。(A)
- マグカップを与えられなかった人に、マグカップを買っても良い値段を聞いた。(B)
- (A)は(B)の 2 倍以上の金額になった。
核心を見抜くとは
次の文を要約してみてください。
「ビバリーヒルズ高校のピーターズ校長は今朝、職員一同に研修旅行の知らせを告げた。来週木曜、職員全員でサクラメントへ行き、新たな教育メソッドに関する会議に参加する。当日は人類学者のマーガレット・ミードや教育学者のロバート・M・八珍図、カリフォルニア州知事のパット・ブラウンによる講演も予定されている」
ある人の答えは、
「来週木曜は学校が休みだ」
だったらしい。極端な例だが、核心をついている。衝撃を受けた。
仕事を断る方法
コミュニケーション
急にライフハック的な話になるが、面白かった。
使えそうなものをいくつか示す。
- とりあえず黙る。
- 「予定を確認して折り返します」。
- 肯定を使って否定する。「車で送ってほしい?はい、どうぞ僕の車を使ってください。キーをどうぞ」
逆プロトタイプ
試しにやめてみて、問題なければ本当にやめる。
仕事のコツ
他にも仕事のコツがいくつか掲載されている。本書では「仕組み化する技術」と呼んでいた。
未来を頭の中に抱え込まない
「あれもやらなきゃ!」と思ったことは、リストアップして頭から排除する。 そして今やるべき優先度の高いことに集中する。
見積もりは1.5倍で考える
心理学者のダニエル・カーネマンは、「計画錯誤(プランニング・ファラシー)」という言葉を提唱した。
人間は、作業にかかる時間を短く見積もりすぎるものだということである。
これはかなり心当たりがある。私は要件定義の作成時間を見積もった際、上司から毎回「そんな短期間で無理でしょ」と言われ、計画を修正して、実際には修正後の見積もりだけ時間がかかった…ということを繰り返していた。
私の見積もりは、本書の言葉を借りると、「車間距離を 5 センチしかとらずに時速 100km で疾走する」車の状態である。。。
小さく始める
アジャイル開発でも頻繁に使われる 「MVP(Minimum Viable Product)」という言葉。
- 簡素でよいから、顧客に有用なものを提供する。
- フィードバックを受けて、改善していく。
という開発の進め方である。ウォーターフォール開発のように、計画からリリースまで数年かかって、一度に大規模なものを提供するやりかただと、顧客がそれで満足してくれなかった時のリスクが大きすぎるよね、という考え。
以下の記事の画像がわかりやすいです。
「完璧を目指すよりまずは終わらせろ」「顧客にとって有用なことを最低限実現する」
という考え方を、普段の仕事にも生かすと良いとのこと。
たとえば、
- 数週間後にプレゼンをするなら、「どんなことを話そうか?」というアイディアを今すぐ短時間で書き留める。
- ミーティングの予定を入れるときには、そのミーティングの目的をメモしておく。
といった、「少しの事前準備」をするとよい。
私も、ミーティングを設定するときはアジェンダや話し合いたいこと、ゴールを打合せ招待メールの中に入れるようにしている。これをやらない場合、いざその時間になってから
「えーっと…なんで集まったんでしたっけ?」
となってしまう…。
MVP(Minimum Viable Product)
エッセンシャル思考とは関係ないけど、
MVP の「V」は、 Viable(実行可能な)
まとめ
覚えておくこと
エッセンシャル思考の第一歩として、覚えておくのは以下 3 つ。
- 「やると選択する」
- 「世の中のほとんどはノイズ」
- 「すべてを手に入れることはできない(トレードオフ)」
普段の生活の中では、
「今やっていることは、自分が選択したこと」という意識を持ち、適度に「90 点ルール」を取り入れ、断りたいなと思ったら「とりあえず黙る」
ということを覚えておくと、今より少しだけ、新しい技術を学ぶ時間ができるかもしれません。
やりすぎても良くないかも
90 点未満のものをすべて切り捨てるのは、自分が価値を見極められなかったものも切ってしまうことになるので、少し危険な気もする。
自分の成長に必要なものをうまく取り入れていきたい。